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僕たちと“会計の未来”を語ろう[後編]

前編に引き続き、4名にて行った対談をお届けします。

前編では、「会計」の概念が変わりクラウド化によりコスト削減が進むと、一つ一つのトランザクションの価値が注目されはじめる……という話が展開されました。後編では、「お金の見える化」によって起こる変化について議論が深まっていきます。

「お金の見える化」は夢を与える

菅藤:
国見さんと前に対談したときに、「お金を見える化」した結果、その後はどうするんだろうという話をしていたんです。お金が手元にある人は投資すべきじゃないですか。でも投資は怖いですよね。

怖いのはなぜなのかというと、それは「見える化」ができてないから。どれくらい投資すべきかがわかれば、「もっと売上をつくるためにこれくらい投資しよう」って思えるんですよ。

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(菅藤)

菅藤:
マネーフォワード MEはお金の見える化をすることで「子どもの学校はここに行ける」「車はこれなら買える」という気づきにつながっていくべきだし、クラウド会計も「来年はこれくらい投資できる」という勇気につながっていってほしい

辻:
僕も起業してから、投資家の方々から約150億円ぐらい出資いただいていますけど、初めから150億を調達したわけではなく、最初は個人投資家から200万ずつ出資いただいていて、少しずつ前進してきた。それと一緒なんですよね。

国見:
最近ナレッジラボでは、M&Aの準備に向けたサポートをやっているんですね。

後継者がおらずM&Aを検討しないといけないけど今すぐ会社を売却できない……というような会社は、決算書からシミュレーションをすると「現状のままだと数年後に企業価値がゼロになっちゃいます」っていう結果になるんです。当然社長はへこむんですよね、後継者も居ないし。でも例えば「売上を2%上げていったら、10年後に企業価値がこれくらいになるかもしれません」というような事業計画のお話をしたら、多くの社長がすごい笑顔になるんです!

「これだけ頑張ったら、うちの会社こんなに良くなるんだ」というのがわかったからなんでしょうね。もう本当にガラッと変わって、「一緒にやっていきましょう!」という雰囲気になったんです。

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(国見)

辻:
へぇー!売上2%アップはできそうですもんね!

国見:
そうなんですよ。「売上2%成長や利益率を1〜2%改善できたら、企業価値がこれくらいになります」と。これって夢を与えるような仕事だなと思いました。僕が何をしたかというと、会計データから先の数字を算出して見せてあげただけなんですよ。それだけなんですけど、会計ってすごい力を持っているし、夢を与える仕事ができるんだなと思いますね。

辻:
データの使い方によっては、今までお金が回らなかった人に回るようになるし、逆に悪いことも見える化されて悪いことはできなくなる。とてもいい世界になりますよね。

菅藤:
そうなんですよね、その回ってくるチャンスをつかんでほしい。今まで気づけなかったチャンスがすごく近いところにあるということをデータは示せる。今までは銀行に行って相談しないと気づけなかったけど、データが溜まっていれば1クリックでお金を借りて事業を伸ばせるかもしれない。そこに猛烈な価値があるんでしょうね

士業の介在価値はAIで置き換え可能なのか?

辻:
国見さんって経営者の方とたくさん話をしているじゃないですか。その「2%売上を伸ばせば……」という話、めちゃめちゃ面白いと思ったんですけど、それをサービスに落とし込んだらどうなるんですかね? 人が介在しないでやるとしたら。

国見:
人が介在しないとしたら、会計の過去のデータから何らかのロジックを使って将来が見えるようにしてあげて、経営者と一緒に伴走していく、というようなイメージだと思うんですけど、将来を見える化するときに過去データが必要になるので、会計がやっぱり大事ですね。

菅藤:
僕は……ちょっと矛盾するかもしれないけど、「国見さんが言ったから社長が喜んだ」っていうのもあると思うんだよね。

竹田:
国見さんが言うから説得力があるってこと?

菅藤:
国見さん、嘘付かなさそうじゃないですか(笑)。会計士としても経営者としても経験があるし、そこがたぶんポイントなんですよね。「ちゃんと信頼できる人間」が「正しいデータに基づいてアドバイスしている」という両方が欲しい

国見:
それはありますよね。なので、基本的にはツールだけじゃ解決しないと思っていて、じゃあこのツールを誰がサポートするのかといえば、会計事務所の先生か社内の財務責任者なんですよね。経営者が信頼しているお金の専門家がセットじゃないと、やっぱり成り立たないと思いますね。

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辻:
先ほどマネーフォワード MEでも人にあったアドバイスが欲しい、という話をしたけど、経営もリスク許容度や望む将来像によってアドバイスが異なるはずなんですよね。すごく保守的なCFOに攻めたアドバイスを言っても「いやいや、僕の価値観ではそんなことは望んでない」となってしまう。

それって結構経営者のパーソナリティーに依りますよね。そこを国見さんも判断していると思うんですけど、そういう要素がプロダクトに入っていくと面白いですよね。

ーーー経営者の価値観に合わせてアドバイスするのって具体的にどうしているんですか?

国見:
そこは、実は一番難しいけど付加価値が出る部分でもあるかなと思ってます。

さっきの話も、シミュレーション通りにデータを出しただけじゃなくて、それまでにしっかりとコミュニケーションを取っているんですよ。「これからどうしたいんですか?」「息子さんいらっしゃるんですか?」「5年後・10年後、会社はどうなっていたいですか?」「いくらで売却されたいですか?」と。それを満たすような形のシミュレーション結果を提示すると、すごく喜んでくれるんです。

これって、5年後はまだAI化ができていない部分だと思うんですよね。50年後はわからないですけど。だからこそ人が介在する価値がある部分かなと思っていて、他の事務作業に忙しい問題をツールで解決して、士業がこっちに時間を使えるようになるといいですよね。

辻:
国見さんの質問も、もしかしたらパターン化できるんじゃないですかね。たぶん3000個ぐらい質問が揃えられれば、個別のパターンを出すことができると思うんですよ。5年、10年は分からないですが、ロジック的にはAI化できそうですよね。

国見:
3000個あっても分岐があるから、おそらく5つぐらいの質問に収まるんですよね。

辻:
ただ「機械に言われても……」とどうしても感じてしまう人に対して、説得力をどう担保すればいいのか、ですね。

国見:
そこは本当に難しくて、ヒアリングするときも笑顔で接したりとか、気の利いたことを言うと安心して話してくれるので、その辺りは「信頼」ですよね。

辻:
さらにいくと、「信頼」が何で構成されているのか。国見さんの「信頼」は「僕をわかってくれている」ということだと思うんですよ。それもある程度パターンでできるんじゃないかと思っていて。たくさんパターンはありそうだけど、そこを定量化してみたいよね。定量化することで逆に人間でしかできないところが見えてくるように思います。

菅藤:
なるほど、どうだろう、僕はまだわからないな。人間が残るような感じもする。

日本の未来は・・・

ーーー日本はこの後どうなっていくんでしょうか? 労働人口が減って、日本の市場がどんどん縮小する中、マネーフォワードはこれから日本社会にどう貢献していくのでしょうか?

辻:
日本のGDPの6〜7割は個人消費なので、人口が減るとGDPが減りますよね。それに伴って国際競争力が無くなって貧しくなって、政権がポピュリズムに走り出し、政権ができないことを約束し始めて、結果短期間で政権がコロコロ変わって産業がボロボロになる……というのが日本のバッドシナリオだと思う。それは嫌なので、まずは1人あたりの生産性を高めて収益性を高め、一人ひとりの生活レベルを上げていく

また、少子高齢化というのは日本が課題先進国なので、課題を解決する技術やスキームは輸出できるはず。最後に、1800兆円を超える個人資産をどう投資に向けるか。これは日本の最大のアセットだと僕は思っています。

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(辻)

菅藤:
人口減はもう手遅れで、それを受け入れるというところからスタートせざるを得なくて。それでもより豊かな生活を維持するにはどうするかを考えたとき、縮小していく日本の中だけで物事を考えちゃいけないと思う。視野を広げて、アジアや地球全体の経済成長の中で日本はどうあるべきか、という捉え方をしたい。

竹田:
前に菅藤くんが「もし自分が過疎化した村の村長になったらどうする?」という話をしていたんだけど。もし村が過疎化してその中の経済だけで全く食っていけないのだとしたら、外から人に来てもらうか、外の人からお金をもらうしかないはず。日本もそれを必然的にやらなきゃいけないという状況になっているし、それを少ない人数でやるためには今までと違う発想をしなくてはいけないから、新しいチャレンジをせざるを得ない。

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(竹田)

竹田:
そう考えると今はすごく面白い状況にあると思っていて、たしかに逆境かもしれないけど、辛いことって後で振り返ると酒の肴になるじゃないですか。絶対いま面白い時代なんだと思うんですよね

辻:
「人が少なくなる」というのはすごいチャンスなんですよ。アメリカはいま「雇用を生め」と言われていて、そういう中でAIやクラウドで効率化するというのは、逆の流れじゃないですか。人を採用しないといけない社会なわけですから。僕らは人が足りないから効率化を進めるしかなくて、逆に良い環境といえるんですよね。

竹田:
生産性をあげようとみんな頑張っているのに、結局人数が多いところが勝ちます、なんてそんなわけないと思いますよね。

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国見:
中小企業の生産性をどう上げるかという点でいうと、いま起業して5年以内に7〜8割倒産し、10年以上持つ会社なんて数%しかないと言われていますが、僕の感覚ではお金の管理がちゃんとできていたら倒産しなかったんじゃないの、というケースが結構な割合あるような気がしています。

そこをお金の可視化をしてファイナンスをちゃんとしてあげるだけで、倒産って減ると思うんです。倒産が減っていくことは日本の市場にも必ず好影響なはずで、中小企業に対してはそういうことをやっていきたいなと思っています。

辻:
なるほど。

菅藤:
国見さんの「中小企業を支えたい」っていう軸を絶対にぶらさない感じ、僕すごい好き。

(一同笑)

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編集後記

4名の対談を前編・後編にわたってお届けしました。

本記事については、クラウド事業におけるステートメントを言語化するため、という目的もありましたが、それ以上に私自身(編集担当の富士)が「日本の経済これからどうなっちゃうの?」「こんな経済的に不安なのに子育てできるの?」「自分は老後まで生きていけるの?」という漠然とした不安を抱えながら働いていて、それに対する当社の解を知りたかったという背景もあります。

日本はいま経済的に困窮している状況ですし、当社も上場企業とはいえまだまだ小さい会社です。志があっても、今すぐダイナミックな変革を起こせるほどのパワーはありません。

それでも、とても明るくお話している4人を見ていると、勇気が湧いてきます。当社のような会社が本当に社会を変えていくのだなと素直に思いました。そして、同じ想いを持った方々とどんどん連携して、力を合わせてこれから変革を起こしていくのだと思います。

これを読んでくださったあなたもぜひ、当社のこれからを見守り続けて下さい。

[photo by 鈴木智哉]

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